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忘れない「おもてなし」

FDP053フード053大震災から3年が過ぎました。

東日本大震災犠牲者の方々に謹んで哀悼の意を捧げます。

都内でもあの日はいろんなことがおこっていました。

私は、帰宅難民になっていました。

ちょうどホテルのレストランにいた時に、地震があり、ホテルの従業員も「この建物は耐震構造ですから」と落ち着いた対応でした。

よく接客やサービスの本には、ホテルのホスピタリティーについて書かれています。だから、非常事態にこの場所にいたことは、むしろありがたい、とも思っていました。

スタッフは「マニュアルに沿って指示があれば食料も出します」と、不安げな友人にも、ねぎらいの言葉をかけてくれ、彼女も「さすがね。ホテルにいた時でよかった」と感心しきりでした。

しかし、夜になり閉店時になると、あっさり退席を促され「せめてロビー前にいても?」とお願いしてみましたが「ロビーは宿泊のお客様のみになっております」と返答されました。しょせんはレストランだけの客です。究極のホスピタリティーをうけるのは、安くないことを知りました。

その後、夜も更けていき「ビルの外に出ないといけなくなったら・・・」と不安になっていた時、向こう側ので手招きしている男性がいるのです。

「千疋屋」というその店は、すでに閉店していましたが、就活生や勤め帰りの人、老夫婦など大勢の帰宅困難者を見つけては招き入れていたのです。「椅子もっと使って寝ていいから」という声に恐縮していると、私服の女性が、温かい食事とお水をそっとさりげなく置いていきます。

自分たちも帰宅できない中、客でもない人間に、こんなに温かいもてなしができるなんて・・・。大切なことを学んだ夜でした。

かくして落ち着いた頃。その店にお礼に伺いました。もちろん今度は「客」として。その後も利用させていただき、友人には口コミでおすすめをしています。

私も仕事がら、接客やサービスの「マニュアル」作成のお手伝いをしていましたが、あの日以来「マニュアル」や「クレド」を順守させ携帯することよりも、いざという時は良心にそって「さっと手を差し伸べる。」      そんな「もてなしのこころ」を携帯しておきたいと思いました。